トレントの開示請求を無視・放置してしまったら? 数ヶ月経っても今からできる対応を弁護士が解説

弁護士プロフィール

2009年弁護士登録(東京弁護士会所属)
弁護士登録番号:39891
トレント(BitTorrent)による発信者情報開示請求への対応を中心に取り扱っています。意見照会書・開示命令通知書が届いた際の代理回答、著作権者側との示談交渉、損害賠償請求への対応を得意としています。状況を分析し、解決策をご提案します。
困ったことがあれば、被害が大きくなる前にまずはご相談ください。

トレントの開示請求を無視・放置してしまっても、その期間の長さだけで「もう手遅れ」とは限りません。意見照会書が届いてから示談がまとまるまでは、数か月以上かかる手続きです(期間は相手方・プロバイダ・裁判所の対応によって大きく変わります)。数ヶ月放置してしまった方も、まだこの手続きの途中にいる可能性があります。ただし、時間が経つほど選択肢は狭まっていくため、今すぐの相談が重要です。

「意見照会書が届いていたのに、忙しくて返信しなかった」「正直、怖くて見て見ぬふりをしていた」「回答期限をとっくに過ぎてしまった」——そんな状態で、この記事にたどり着いた方も多いと思います。

2026年10月23日、トレントの開示請求についてのお問い合わせが増えています。不安なことがあれば、ネット関連で10,000件以上の相談実績がある弁護士法人 法の里にご相談ください。

この記事では、放置している間に実際何が起きているのか、法律上の時効・告訴期間はどうなっているのか、そして今からできる対応を、弁護士が正確に解説します。

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目次

トレントの開示請求を無視・放置してしまった方からのご相談

トレントの開示請求に関するご相談では、次のようなケースが少なくありません。

  • 意見照会書の回答期限(一般に2週間)をとっくに過ぎてしまった
  • 怖くて書類を見ないまま、数ヶ月放置してしまった
  • 一度「開示命令が発令された旨の通知書」を受け取ったが、その後何も対応しないまま時間が経った

いずれの場合も、「もう何もできないのではないか」「今さら相談しても意味がないのではないか」という不安を抱える方が多いです。しかし、結論から言えば、経過した期間によって取れる対応が完全になくなるわけではありません。

開示請求を無視・放置している間、実際には何が起きているのか

意見照会書の回答期限を過ぎると、プロバイダは「不同意」で回答したものとして扱いますが、それだけで即座に何かが起こるわけではありません。実際の手続きは、次のような流れで数ヶ月かけて進みます。

STEP1〜5:意見照会書から示談までの流れ

  • 意見照会書が届く(回答期限は、当事務所がこれまでに扱ったものでは基本的に2週間)。多くのケースでは、著作権者側が裁判所に発信者情報開示命令を申し立てたタイミングで届きます
  • 裁判所で開示命令の審理が進む(意見照会書に回答しなかった場合も、手続きそのものは止まりません)
  • 開示命令が出ると、プロバイダが氏名・住所等を著作権者側へ開示。意見照会で「開示に応じるべきでない」と回答していた人には、プロバイダから開示命令を受けた旨の通知が届きます(情報流通プラットフォーム対処法6条2項)
  • 開示後、著作権者側の代理人弁護士から請求書や内容証明郵便などで連絡
  • 示談交渉・解決

各段階にかかる期間は、著作権者側・プロバイダ・裁判所の対応によって大きく変わります。当事務所のご相談では、トレントの件で意見照会に「同意しない」と回答した後、裁判所の手続きに進んでいないケースはほとんどないというのが実感です。一方で、裁判所やプロバイダ側の対応に時間がかかり、半年以上何の動きもないように見えるケースもあります。「しばらく何も来ないから終わった」とは限らず、まだこの手続きの途中(開示命令の審理中、または開示後・連絡前の段階)にいる可能性があります。

なお、当事務所が扱ってきたソフトバンクのトレント案件では、意見照会書が届かないまま、開示命令が出た段階で「開示命令が発令された旨の通知書」が届くケースがほとんどでした。詳しくはソフトバンクから「開示命令が発令された旨の通知書」が届いたらをご覧ください。

トレントの開示請求に時効はある?無視し続ければ逃げられるのか

「時効が来れば大丈夫」という情報を目にして、この記事にたどり着いた方もいるかもしれません。しかし、時効・告訴期間の制度は、放置すれば自動的に安全になるような単純なものではありません。正確に理解しておきましょう。

結論:トレントの開示請求に関係する期間は下の表のとおりで、どれも「トレントを使った日から数えて、一定期間が過ぎれば安全」というものではありません。数え始める時点がそれぞれ違うためです(2026年10月時点で、e-Gov法令検索の条文を確認)。

期間の種類長さいつから数えるか根拠
損害賠償請求権の消滅時効(民事)3年著作権者側が損害と加害者を知った時民法724条1号
損害賠償請求権の消滅時効(民事)20年不法行為(侵害行為)の時民法724条2号
告訴期間(刑事・親告罪の場合)6か月告訴する人が犯人を知った日刑事訴訟法235条
公訴時効(刑事)7年犯罪行為が終わった時刑事訴訟法250条2項4号・253条

「開示請求がいつまで届くのか」は、上の時効とは別の問題で、主にプロバイダが接続の記録(ログ)をいつまで残しているかによります。何年も前の利用について届くかどうかは、トレントで開示請求が届いた時の対応の「トレントの開示請求はいつまで届く?」で解説しています。

民事:損害賠償請求権の消滅時効(民法724条)

不法行為に基づく損害賠償請求権は、「被害者(著作権者)が損害及び加害者を知った時から3年」、または「不法行為の時から20年」で時効により消滅します(民法724条)。

重要:ここでいう「加害者を知った時」とは、著作権者側があなたの氏名・住所を知った時点、つまり発信者情報開示によって特定された時点を指すと解されています(最高裁昭和48年11月16日判決)。あなたがトレントを利用した時点からではなく、開示された時点から時効のカウントが始まるという点に注意が必要です。放置して開示が遅れれば、その分だけ時効の完成も先送りになります。

また、3年の時効は、何もしなければ自動的に満了するとは限りません。請求書や内容証明郵便などによる請求(催告)があると、その時から6か月間は時効が完成せず(民法150条)、その間に訴訟が起こされれば、手続きが続く間は時効が完成しません(民法147条)。「連絡を無視していればいずれ時効になる」という考え方は通用しないと考えてください。

刑事:告訴期間(刑事訴訟法235条)

著作権侵害は原則として親告罪であり、著作権者等が告訴しなければ公訴を提起できません。親告罪の告訴は、告訴権者が犯人を知った日から6ヶ月以内に行う必要があります(刑事訴訟法235条)。

ただし、2018年12月30日施行の改正著作権法により、対価を得る目的があること、有償著作物をそのままの形で提供していること等、一定の要件をすべて満たす場合は非親告罪とされ、この告訴期間の制限は適用されません(著作権法123条2項・3項)。個人が私的な範囲でトレントを利用していたケースでは、引き続き親告罪に該当することが多いと考えられますが、態様によって判断が分かれるため、一律に「6ヶ月経てば大丈夫」とは言えません。

刑事:そもそも起訴できる期間の上限(公訴時効)

著作権法違反(119条1項)の法定刑は10年以下の拘禁刑(または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方)であるため、公訴時効は犯罪行為が終わった時から7年です(刑事訴訟法250条2項4号・253条1項)。

⚠ 時効・告訴期間は「待てば逃げ切れる」制度ではありません。起算点や適用条件は事案ごとに異なり、自己判断で「もう大丈夫」と考えるのは危険です。ご自身のケースがどの段階にあるかは、弁護士に書類を見せて確認するのが確実です。

無視・放置してしまった後でも、今からできる対応

放置してしまった期間があっても、今からできることは十分にあります。

  • 現在どの段階にいるかを確認する(意見照会書の段階か、開示後の内容証明の段階か)
  • 開示後・請求後の段階であっても、示談交渉は可能。早期に対応するほど、示談金が低くなる傾向がある
  • 放置を続けた場合との比較:無反応が続くと「誠意がない」と判断され、示談ではなく民事訴訟・刑事告訴に進むリスクが高まる

【2026年3月・最新情報】著作権者側の代理人弁護士事務所が、示談交渉に応じない侵害者への刑事告訴を積極化する方針を正式に発表しました(2026年3月31日)。放置期間が長いこと自体よりも、「連絡してもなお対応しない」ことが、刑事告訴に進む主な要因になっています。裏を返せば、今からでも誠実に対応すれば、状況は変えられるということです。

弁護士法人 法の里では、放置してしまった後のご相談も数多くお受けしています。「今さら相談しても」と思わず、まずは状況を確認させてください。

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弁護士費用

対応内容着手金(税込)成功報酬期間(目安)
意見照会書が届いた際の代理回答する場合110,000円〜成功報酬なし最短1週間
損害賠償請求する場合165,000円~110,000円〜最短2〜6ヶ月

複数社からの開示請求も対応しています。また後から別の会社・作品で開示請求が届いても、 追加の着手金なしで対応できます。 相談料0円・すべて税込表示・分割払いも可能ですので お気軽にご相談ください。

開示請求を無視・放置してしまった方も弁護士法人 法の里へご相談ください

「もう遅い」「今さら相談しても」と考えて連絡をためらう方もいますが、放置期間の長さそのものよりも、これから誠実に対応するかどうかが結果を大きく左右します。

弁護士法人 法の里は、ネット関連相談実績10,000件以上の取り扱い実績があり、放置してしまった後のご相談にも数多く対応しています。まずは今の状況を、お気軽にお聞かせください。

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よくある質問(FAQ)

意見照会書を無視・放置してから半年以上経ちましたが、まだ何か言われる可能性はありますか?

十分にあります。開示命令の申立てから開示までには数ヶ月かかることが多く、半年程度の経過はまだ手続きの途中であるケースが少なくありません。放置を続けるより、早めに弁護士に状況を確認することをおすすめします。

もう時効だから大丈夫と思っていいですか?

自己判断は危険です。損害賠償請求権の時効は、著作権者側があなたの氏名・住所を知った時点(発信者情報が開示された時点)から起算されるのが原則で、あなたがトレントを利用した時点から数えるものではありません。放置して開示が遅れれば、時効の完成時期もその分先送りになります。

開示決定の通知だけ来て、その後何も連絡がありません。放っておいていいですか?

おすすめしません。開示から実際の請求までの期間は著作権者側の対応によって変わり、当事務所のご相談でも、裁判所やプロバイダ側の対応に時間がかかって半年以上動きがないように見えるケースがあります。連絡がまだ来ていないだけの可能性があります。放置を続けると、後に「誠意がない」と判断されるリスクもあるため、この段階で弁護士に相談しておくことで、その後の対応がスムーズになります。

何年も前にトレントを使っていた場合はどうなりますか?

利用時期がかなり前であっても、プロバイダのログ保存期間内であれば開示請求の対象になり得ますし、著作権法違反の公訴時効(行為時から7年)が経過していなければ刑事上のリスクも残ります。年数だけで安全と判断せず、書類が届いた場合は弁護士にご確認ください。

関連ページ

引用した法令・一次情報

  • 民法724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効):e-Gov法令検索
  • 刑事訴訟法235条(告訴期間)
  • 著作権法119条1項(罰則)・123条2項3項(非親告罪化の要件)
  • 刑事訴訟法250条2項4号(公訴時効)・253条1項(時効の起算点)
  • 民法147条・150条(時効の完成猶予):e-Gov法令検索(2026年10月確認)
  • 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法)6条(意見の聴取・開示命令の通知):e-Gov法令検索
  • 文化庁「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備」(著作権等侵害罪の一部非親告罪化・平成30年12月30日施行)
  • 最高裁昭和48年11月16日判決(724条「加害者を知った時」の解釈)
弁護士:髙橋 健一 弁護士:髙橋 健一
2009年弁護士登録(東京弁護士会所属)
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