AVのトレントで発信者情報開示請求が届いたら?和解方法など弁護士が解説

ビットトレント(BitTorrent)は、P2P方式により、ユーザー同士でファイルを共有できるソフトです。
合法的なソフトですが、最近では、AV(アダルト動画)やアニメ、音楽作品、漫画などをトレントを介してやり取りした人に対して、それぞれの作品の著作権者から発信者情報開示請求がなされるケースがあります。
- トレントを利用することは法的にどのような問題があるのか?
- 発信者情報開示に係る意見照会書を受け取ったらどう回答すべきなのか?
- トレント利用で損害賠償請求を受けた場合はどう対処すべきか?
この記事ではこれらの点について解説します。
この記事を見ている方の中には、既に、「発信者情報開示に係る意見照会書」を受け取っている方もいらっしゃると思います。
回答期限は一般的に2週間以内です。この期限内に適切に対処しないと、著作権者側との和解が難しくなることもありますし、著作権法違反で逮捕、起訴されてしまうリスクもあります。
トレントの利用で発信者情報開示請求を受けてしまった方は、すぐに弁護士法人 法の里にご相談ください。
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ビットトレント(BitTorrent)とは
ビットトレント(BitTorrent)は、P2P方式により、ユーザー同士で直接ファイルを送受信し合うクライアントソフトです。
外部から映像や音楽といったデータを受信(ダウンロード)する方法としては、クライアントサーバー方式とP2P方式があります。
クライアントサーバー方式は、情報を一元管理するサーバーが存在し、ユーザーがそれぞれサーバーにアクセスし必要なデータを受信します。
一方、P2P方式は、中央サーバーが存在せず、ユーザー同士が直接つながった状態になります。
データを受信する際は、それぞれのユーザーが保有するデータからお裾分けを受ける形になります。同時に、P2Pに参加したユーザー自身も意図せずして自身が有するデータを送信(アップロード)している状態になります。
そのため、トレントを利用すると、自分のパソコン内に保存した様々なデータ(アダルトビデオ(AV)、映画、音楽、動画、画像、漫画など)を意図せずして自動的に送信している可能性があるわけです。
トレントは違法なのか?
トレント自体は違法ではありません。世界中で多くのユーザーが合法的に利用しています。
違法となるのは、他人の著作物であるデータを無断でやり取りしている場合です。
トレントを利用すると自分のパソコンに保存しているデータを意図せずアップロードしてしまいます。そのデータに、AVなどの他人の著作物が含まれている場合は、違法なアップロードとして問題になってしまいます。
自分で買ったものなら問題ないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、AVの注意書きをご覧いただくと、「このビデオは一般家庭での私的視聴に用途を限って頒布しています。無断で公衆送信等を行うことは法律により一切禁止されています」といった記載があると思います。
つまり、自分で買ったものでも、トレントでアップロードすることは違法になるわけです。
トレントで具体的に侵害してしまう権利とは?
トレントを利用することで侵害するのは、AVの制作者や販売者が有している著作権です。
著作権の具体的な内容は著作権法21条以下に定められていますが、トレントの利用で関係するのは、同法23条の公衆送信権です。
公衆送信とは、簡潔に言うとインターネットで配信することを意味します。
公衆送信権は、基本的に著作権者が独占しており、公衆送信を行うことにより経済的な利益を得ています。
トレントによって著作権者以外の人が、無断で公衆送信を行うと、著作権者が経済的な利益を得ることができなくなります。
そのため、AVの著作権者としては、トレントでアップロードしている人を特定してやめさせたり、損失分の損害賠償を求めたいと考えるわけです。
トレントを利用していると身元が特定される?
トレントを匿名で利用しているから、身元が特定される心配はないと思われるかもしれませんが、トレントを利用していることは特定されやすいです。
具体的には、トレント監視システムなどを利用することによって、トレントでアップロードしている人のIPアドレスを特定できるようになっています。
IPアドレスが分かれば、該当するインターネットプロバイダーに対して、そのIPアドレスの利用者の情報を開示するように求めることができます。
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トレント利用に厳しいメーカー(著作権者)の例
トレントのネットワークを監視していて、自社の作品のアップロードが確認されたら、直ちに法的措置を取る著作権者も少なくありません。
AVだけでなく、音楽作品や漫画などでも厳しく対処している著作権者も多いです。
特に次のようなメーカーや著作権者は厳しく対処する傾向があります。
大手レコード会社の音楽作品 | ポニーキャニオン、エイベックス、バンダイナムコアーツ、日本コロムビア、キングレコード、SONY(ソニー)、ユニバーサルミュージックの音楽など |
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アダルト動画 | KMP(ケイエムプロデュース)、プレステージ、EXstudio、CONT、KSプロ、三和出版、WILL、ティーパワーズ、クイーンズロード、TPJ、マレー商会、エムケイエイチ、バソキア、CHERRIES、グルーヴ・ラボ、ホットエンターテイメント、A&T、MBM、グラフィティジャパン、h・m・p、清水健、桃太郎、有限会社デジタルガガ、オムプロダクション、ヒューマンネイチャー、オフィスサイレンス、株式会社ST、極楽、最強属性、ビジョンイノベーション、澤野ヒロム及びマッスル澤野こと野澤圭佑、ナチュ、田淵正浩、インフォメディア、エムズ・ファクトリー、ベンハー、Plum、SODクリエイト、マイロール、マックス・エーウノマス、ドリームチケット、ルビー、ホットエンターテイメント、ワープエンタテインメント、Horizon、ヒロスンエンタテインメント、バソキア、CHERRIES、アルアクーン、ビジョンイノベーション、インフォメディア、バビロン、Dreamprojec、du78、エンループ、株式会社Gl、タカラ映像、ありすほりっく、プラスオーアール、サンワソフト、インテック、ROCKET、プレビス、MRGの作品など |
漫画 | 芥見下々、中島なつみ |
もちろん、これ以外のメーカーや著作権者の作品なら、トレントでやり取りしても問題ないというわけではありません。
どのメーカーや著作権者の作品でも、法的措置を取られてしまうリスクがあります。
発信者情報開示を求める法的手続きとは?
AVの著作権者がインターネットプロバイダーに対して、IPアドレスの利用者(発信者)の情報を開示するように求めても、任意の交渉ではインターネットプロバイダーは開示に応じないのが一般的です。
そこで、AVの著作権者は法的手続きにより発信者の情報の開示を求めることになります。
その方法は次の2つです。
- 発信者情報開示請求訴訟
- 発信者情報開示命令の申立て(非訟手続)
いずれも裁判所での手続きになりますが、AVの著作権者は、発信者がトレントで動画をアップロードしていることにより、損害を被っていることを主張、立証したうえで、インターネットプロバイダーに発信者情報の開示を求めます。
その請求が適切であるかどうかを裁判所が判断することになります。
その手続きの過程で、発信者とされている人にも、本当にトレントを利用しているのか? 発信者情報を開示してよいのか? といった確認が必要になります。
そこで、インターネットプロバイダーが発信者に対して、「発信者情報開示に係る意見照会書」を送付します。
トレントを利用している方は、この意見照会書が届いた際に、法的手続きが進められていることを知ることが多いです。
トレント利用で発信者情報開示に係る意見照会書が届いたときの対処方法
トレントを利用しているために、「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いた場合の対処方法は3つです。
それぞれどのような意味になるのか確認しましょう。
開示請求を拒否する
開示請求を拒否すべきなのは、トレントを利用した覚えがない場合です。
ただし、現在は、トレントを使っていなかったり、パソコンからトレントソフトを削除していたとしても、過去に一度でもAVをダウンロードするといった形で利用していた場合は、利用していなかったことにはできません。
また、自分は利用していなくても、同居する家族が利用している可能性もあるので、家族にも確認が必要です。
開示請求に同意する
トレントを頻繁に利用している場合は、開示請求を拒否したところで、著作権者側が手続きを進めれば、最終的には開示されてしまいます。
そのため、素直に開示を認めて、早めに示談した方がよいこともあります。
開示請求を無視する
意見照会書への回答は、受領してから2週間以内に行わなければならないのが一般的です。
この期間内に返事を出さなかった場合は、無視したことになり一番良くない方法です。
この場合、開示請求を拒否するのと同じ扱いになります。
トレント利用の発信者情報開示請求は著作権者の勝訴率が非常に高い
AVの著作権者がトレント利用に関して、発信者情報開示請求を行った場合、裁判所はほとんどのケースで著作権者側の言い分を受け入れて、発信者情報開示を認めています。
発信者が開示請求を拒否したり無視しても、その主張は通らないことが多いです。
そのため、発信者情報開示に係る意見照会書が届いた時点で、著作権者から何らかの請求がなされることを覚悟した方がよいのが実情です。
それなら、素直に開示に応じた方が、著作権者との示談交渉が成立しやすいですし、損害賠償額も少なくて済むケースもあります。
トレント利用で発信者情報が開示された後の流れ
裁判所が発信者情報開示を認めると、インターネットプロバイダーは、著作権者にトレント利用者(発信者)の個人情報を開示します。
氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどです。
著作権者は、特定した人物に対して次の対処を行うのが一般的です。
- トレントを利用しての著作物のアップロードの停止の要求
- 民事上の損害賠償請求
- 著作権法違反を理由とする刑事告訴
著作物のアップロードを止めるように求められるのは当然です。
自分自身ではアップロードしているつもりはなくても、トレントを停止しない限り、いつまでもデータがアップロードされ続ける状態になっているので注意しましょう。
そのため、要求を受けたら直ちに、トレントを停止するべきです。
民事上の損害賠償請求としては、著作物の違法アップロードによって、著作権者が被った経済的損失の賠償を求めるという形で行われます。
その金額がいくらになるのかは、ケースバイケースです。
著作権者が、いきなり裁判を起こすことはまれで、まずは、内容証明郵便などで一定額の支払いを求めてくるケースが多いです。
さらに著作権者は、著作権法違反を理由とする刑事告訴を行うこともできます。
告訴を受理した後の対応は、警察や検察が判断しますが、悪質なケースでは、逮捕、起訴されてしまうこともあります。
法定刑は、「10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」というかなり重い刑罰なので、軽視すべきではありません。
著作権者側の請求に対して、トレント利用者が真摯に対応しない場合は、刑事告訴されてしまう可能性があります。
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トレント利用で損害賠償請求を受けた場合の対処方法
トレント利用者の下に、発信者情報開示に係る意見照会書が届いてからしばらくすると、発信者情報が開示されます。
すると、著作権者から上記のような請求を受けてしまうことが多いです。
この場合、どう対処したらよいのでしょうか?
まず、上記のような請求は、著作権者つまり、AVの制作会社ではなく、代理人である法律事務所からなされることが多いです。
つまり、交渉の相手は弁護士なので、一般の方がご自身で対応することは難しいことも多いものです。
また、相手方が求める損害賠償請求額は、減額されることを見越して、多めに設定されていることもあります。つまり、相手方の請求をそのまま受け入れるのは、適切ではないことも多いわけです。
そこで重要になるのが、著作権者側との示談交渉です。
トレント利用者側が現実に支払える金額と著作権者側が納得できる金額で折り合いをつけるわけですが、そのための示談交渉は大変な労力を要するものです。
このような場合は、トレント利用者側も弁護士に相談し、弁護士に交渉してもらうのが適切と言えます。
弁護士なら、相手方の請求が過大であれば、減額を求める交渉も可能ですし、刑事告訴を行わせないという形で、示談をまとめることもできます。
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トレント利用に関して開示請求を受けたらすぐに弁護士にご相談ください
トレントを利用したユーザーが発信者情報開示請求がなされていることを知るのは、インターネットプロバイダーから『発信者情報開示に係る意見照会書』が届いたときです。
この時点でどう対処するかにより、著作権者との示談交渉がうまくいくか、刑事告訴されるかどうかの結果が違ってきます。
意見照会書に同意した場合は、すぐに著作権者に情報が伝わるため、内容証明郵便が送付されたり、何らかの請求がなされるでしょう。
すでに弁護士に依頼していれば、その対応の一切を弁護士に一任することができます。
早期に示談し和解を成立させれば、示談金の支払いだけで済み、刑事告訴を免れる可能性もあります。
一番良くない対応は、意見照会書を無視した上、開示が認められて、著作権者から何らかの請求があっても無視してしまうことです。
この場合、著作権者側は、誠意がないものとみなして、多額の賠償金を求めて民事訴訟を提起したり、刑事告訴する可能性が高くなります。
そうなってからでは、和解の成立は困難を極めますし、解決のために大変な費用と労力を要することになります。
弁護士法人 法の里は、ビットトレント使用による違法ダウンロードによって開示請求を受けた場合の対応で多数の実績があります。
著作権者との示談交渉も行いますし、対応方法についても親身にアドバイスいたします。
どうしたらよいか悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。
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