誹謗中傷の証拠がない!?誹謗中傷の証拠とは?弁護士が解説-保存(保全)方法も

弁護士プロフィール
弁護士:髙橋 健一
弁護士:髙橋 健一

2009年弁護士登録(東京弁護士会所属)
誹謗中傷の対応を得意としています。状況を分析、解決策のご提案します。
困ったことがあれば、被害が大きくなる前にまずはご相談ください。

インターネット上で誹謗中傷を受けた場合は、民事上の損害賠償請求や刑事告訴することができますが、すべての前提となるのが「確実な証拠」です。

書き込みをした投稿者を特定するためには発信者情報開示の裁判手続が必要ですが、裁判所にその必要性を認めさせるためにも証拠が必要になります。

また、誹謗中傷を理由に慰謝料請求や損害賠償請求する際にも、被害の程度を示す証拠が必要になります。

本記事では、誹謗中傷対策に強い弁護士が、法的に有効な証拠の種類と、失敗しない保存(保全)方法について解説します。

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目次

誹謗中傷の証拠とは?

誹謗中傷の証拠は、単に「悪口が書かれている画面」だけではありません。それ以外にも、様々なものがあります。

誹謗中傷の書き込み内容

インターネット上の掲示板などで誹謗中傷の書き込みがなされた場合は、その書き込み自体が証拠となります。

重要なのは「文脈」です。1件の書き込みだけでなく、執拗に連続して書き込まれている場合や、第三者とのやり取りの中で誹謗中傷に発展している場合は、その「一連の流れ」すべてが証拠になります。

これらの書き込み内容は、裁判所の発信者情報開示手続において、権利侵害がなされたことを主張するために重要な証拠になります。

誹謗中傷の書き込みの関連情報

インターネット上の書き込みは「投稿日時」などが記録されることが多いです。

その投稿日時も重要なので漏れなく保存することが大切です。連日、誹謗中傷を繰り返している場合はそれだけ悪質性が高くなります。

また、投稿者の特定には、投稿時の「IPアドレス」が必須となります。

IPアドレスは通常、一般利用者には見えません。そのため、サイト運営者に対して開示を求めることになりますが、任意の開示に応じない運営者が多いため、裁判所での発信者情報開示手続等が必要になるケースが一般的です。

誹謗中傷による被害状況が分かる証拠

誹謗中傷による被害は、精神的苦痛だけではありません。

被害者が経営する店舗などを標的とした誹謗中傷の場合は、客足が途絶えるなどの経済的な損失を被ることがあります。売上が減ったことを示す帳簿なども証拠となりえます。

また、個人の方でも誹謗中傷による精神的苦痛の程度が甚だしく、医療機関の受診が必要になったり、仕事に支障が出ることもあります。

そのような場合は、次のようなものが被害状況を示す証拠になります。

  • 医療機関を受診した場合:医師の診断書、入院や治療費の明細書
  • 休職したり、解雇された場合:休職証明書、解雇理由証明書、給与支払証明書、収入証明書等

また、弁護士に相談して、投稿者特定などを依頼する場合は、弁護士費用も加害者に損害として請求できます。これらの証拠は、具体的な損害額を確定するために重要です。

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誹謗中傷の証拠の保存方法

誹謗中傷の証拠を保存する際のポイントを解説します。

きれいに保存するためにトリミングなどの加工をしようとする方もいらっしゃるかもしれませんが、証拠は、きれいに保存することではなく、「そのまま」保存することが重要です。

誹謗中傷の証拠では、次の6つが、証拠画像や証拠文書内に収まっていなければなりません。

  • 投稿内容
  • 投稿日時
  • URL(アドレスバー全体)
  • サイトの名称、ロゴ、サービス名
  • 投稿者のアカウント名、ユーザーID
  • 証拠を保存した日時

これらがすべて収まるように、スクリーンショットを撮ったうえで、そのスクリーンショットを加工せず、そのまま残すことが重要になります。

スクリーンショットは、パソコンとスマホのどちらでも残せますが、見やすさからすると、パソコンの方が最適です。

また、PDF文書も作成しましょう。

ブラウザの印刷機能から「PDFとして保存」を実行するとページ全体をPDFに変換することができます。こちらは、URLが完全に記録されるため、URLが長すぎてスクリーンショットに収まらない場合に有効です。

これらのスクリーンショットとPDF文書は、データとして保存するとともに、印刷(プリントアウト)しておくこともおすすめします。

誹謗中傷の証拠が消された場合の対処方法

投稿者が誹謗中傷の書き込みを自分で消すこともあります。

このような場合でも、誹謗中傷の書き込みをした事実に変わりはありませんので、投稿者を特定し責任を追及することが可能です。

消される前にスクリーンショットとPDF文書を保存していれば、それを証拠として利用することができます。

スクリーンショットとPDF文書を保存する前に消されてしまった場合でも、Googleなどの検索エンジンのキャッシュに、削除前の情報が残っている場合は、こちらを証拠として利用できることもありますが、確実ではありません。やはり「削除される前のスピード保存」が鉄則です。

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誹謗中傷の証拠にはタイムリミットがある

誹謗中傷の書き込みは、投稿者が消さない限り、残り続けますが、IPアドレスのアクセスログには保管期限があります。

投稿時のIPアドレスを誰が利用したのかに関する情報はプロバイダーがアクセスログとして一定期間保管していますが、保管期間は3ヶ月から6ヶ月程度しかありません。

この期間が過ぎてしまうと、サイト運営者からIPアドレスの開示を受けても、プロバイダーの方で、そのIPアドレスの利用者を特定できなくなります。

つまり、投稿者を特定することができない上、誹謗中傷の書き込みも放置されてしまうという最悪の状況になってしまいます。

これを避けるためには、誹謗中傷の証拠を保存した後は速やかに投稿者特定のために行動することが大切です。

誹謗中傷の証拠の保存した後に行うべきこと

誹謗中傷の証拠を保存した後に行うべきことは次のとおりです。

  • 発信者情報開示手続
  • 損害賠償請求
  • 刑事告訴

一つ一つ確認しましょう。

発信者情報開示手続

誹謗中傷の書き込みの投稿者を特定するための手続きです。

掲示板などのサイト運営者に対しては、投稿者のアカウント名、ユーザーIDに紐づいたIPアドレスの開示を求めます。

このIPアドレスを基に、プロバイダーに対して発信者の氏名・住所等の開示を求めます。

発信者情報開示手続は裁判所で行いますが、発信者情報開示請求と発信者情報開示命令申立ての2つの方法があります。

どちらを利用すべきかはケースバイケースなので、弁護士に相談して決めましょう。

損害賠償請求

発信者情報開示手続により、投稿者を特定したら、投稿者に対して、民事上の損害賠償請求を行います。

具体的な損害額を確定し、次の流れで支払いを求めていきます。

  • 内容証明郵便等で損害賠償請求する旨の通知を送付する。
  • 相手方と交渉する。
  • 損害額や相手の出方次第では、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の提起を検討する。

これらの交渉はご自身でもできますが、初めから弁護士に依頼した方がスムーズに損害賠償金を受け取れます。

刑事告訴

相手が誠意ある対応をしない場合や投稿内容が悪質な場合、更に、被害者の被害状況が深刻なケースでは、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)による刑事告訴を検討します。

これらの犯罪は、親告罪と言い、告訴がないと起訴できないことになっています。

被害者が刑事告訴すれば、加害者は刑事処分を避けるために、被害者との示談を求めてくることがあります。

結果として、適正な慰謝料(示談金)の支払いがなされる可能性が高まります。

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まとめ

誹謗中傷されたため、投稿者を特定して損害賠償請求等を求めたい場合は、誹謗中傷の証拠を保存することが重要になります。

誹謗中傷の証拠は、書き込み内容が主なものですが、それを証拠として保存する際は、加工せず、そのまま保管することが大切です。

また、証拠として認めてもらうためには、保存方法にも工夫が必要です。

誹謗中傷の証拠を保存した後は、速やかに発信者情報開示手続きを行い、投稿者を特定することが大切です。

自分で保存した証拠が、誹謗中傷の証拠として使えるのか迷っている間にもタイムリミットが迫ってしまいます。

分からないことがあるなら、すぐに弁護士にご相談ください。

弁護士法人法の里は、誹謗中傷への対応などのネットトラブル対応実績が多数あります。まずはお気軽にご相談ください。

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弁護士:髙橋 健一 弁護士:髙橋 健一
2009年弁護士登録(東京弁護士会所属)
弁護士登録番号:39891
発信者情報開示請求・爆サイ、5ちゃんねる等の掲示板やSNSでの削除、投稿者の特定を得意としています。状況を分析、解決策のご提案します。
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