AVのトレント利用で発信者情報開示請求が届いたら?訴訟に進む前に解決策を弁護士が解説
トレント(bittorrent)は、中央サーバーを介さずに自作の音楽や動画、漫画、ゲームなどを送受信できる共有ファイルソフトです。
ファイル共有ソフトの中でも随一の人気を誇りますが、近年は、トレントの利用者に対し、AV動画やアニメ、楽曲の著作権者が損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置をとり、開示請求するケースが増えています。法的措置に先立ち、トレントによる発信者情報開示に係る意見照会書がユーザーに送られてくるといったケースも後を絶ちません。
※2024年12月4日、AVのトレント利用で発信者情報開示請求された方のご相談が増えています。手遅れになる前に今すぐ『メディアを見た』とお伝えした上でご相談ください。
・身に覚えのない発信者情報開示請求の意見照会書が届いたけどどうしたらいい?
・違法ダウンロードで訴訟されて逮捕される?
・家族や会社にはバレたりするか不安?
など。
そこで、本記事では、トレントで発信者情報開示請求を受けた時の対処法について解説します。
トレントの利用で著作権侵害が起きた事例やトレントの発信者情報開示請求を拒否した場合に起きる展開についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
AVのビットトレント利用による開示請求を受け、プロバイダから意見照会書の届いた場合の対処法について相談したい方は、示談金の交渉、発信者情報開示請求に強い弁護士法人 法の里にご相談ください。相談無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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2009年弁護士登録(東京弁護士会所属)
トレント利用による発信者情報開示請求・爆サイ、5ちゃんねる等の掲示板やSNSでの削除、投稿者の特定を得意としています。状況を分析、解決策のご提案します。
トレントとは
トレントとは、中央サーバーを設けないP2P(ピア・ツー・ピア)方式により、ユーザー同士が直接データファイルを送受信できるクライアントソフトです。正式名称は、ビットトレント(BitTorrent)と呼び、米国のエンジニア、ブラム・コーヘンにより開発されました。
トレントの仕組みの中で特徴的なのは、受信(ダウンロード)時に映像や音楽といったデータが細分化され、トレントを利用するさまざまなエンドユーザーのファイルに保存される点です。つまり、データの受信者はデータを受信する際、意図せずして自動的にデータを送信(アップロード)する主体となります。
このような仕組みを構築しているため、トレントを利用すると、データの配布者は配布サーバーの負担を抑えられる一方、エンドユーザーは高速なダウンロードが可能です。さらに、データを保有しているエンドユーザーが多ければ多いほど、ダウンロードの効率性が増える仕組みとなっています。
トレントは、「ダウンロードする際にはアップロードしなければならない」という利用規約を導入し、ユーザーはデータの利用者であると同時にデータの供給者であることを明示しています。
しかし、多くのユーザーは、利用規約が英語で書かれていることもあり、そのような利用条件を読み飛ばしている上、自身もデータを送信する主体との認識が欠けているのです。
トレント(bittorrent)やPerfectDarkなどのファイル共有ソフトは要注意
トレントソフトはデータをP2P方式で送受信できるソフトウェアだけではありません。P2P方式ファイル共有ソフトは、トレント以外に、PerfectDarkや、μTorrent、Bit Comet、uTorrentがあります。
これらのソフトを使ってデータをダウンロードすると、ユーザーは、アップロードの行為をしなくても、自動的にアップロードしてしまいます。著作権者の許可なく音楽や映画、漫画といったデータを他者に送信する行為は著作権侵害行為の一つである送信可能化行為と呼ばれることから、P2P方式ファイル共有ソフトのユーザーは多くの場合、著作権侵害者になり得るのです。
警視庁が2010年代にファイル共有ソフトを利用した著作権法違反事件の一斉取り締まりを実施したことから、近年は、P2P方式ファイル共有ソフトのユーザー数が減少傾向にあるとされます。
それでも、YouTubeに代表される動画共有サイトの誕生を背景に、P2P方式ファイル共有ソフトを使った違法ダウンロードが横行し、著作権法違反者の摘発が後を絶たないのが実情です。
近年では、BitTorrent(ビットトレント)やμトレント(ユートレント,マイクロトレント,ミュートレント)等のファイル共有ソフトで大手レコード会社の音楽作品(ポニーキャニオン、エイベックス、バンダイナムコアーツ、日本コロムビア、キングレコード、SONY(ソニー)の音楽など)
アダルト動画(KMP(ケイエムプロデュース)、プレステージ、EXstudio、CONT、KSプロ、三和出版、WILL、ティーパワーズ、クイーンズロード、TPJ、マレー商会、エムケイエイチ、バソキア、CHERRIES、グルーヴ・ラボ、ホットエンターテイメント、A&T、MBM、グラフィティジャパン、h・m・p清水健、桃太郎、有限会社デジタルガガ、オムプロダクション、ヒューマンネイチャー、オフィスサイレンス、株式会社ST、極楽、最強属性、ビジョンイノベーション、MRGの作品など)
漫画(芥見下々)のトレントによる開示請求がされる事例が増えています。
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トレント(bittorrent)の利用が著作権侵害になる理由
ここからは、トレントの利用が著作権侵害になる理由について、法的な観点から説明します。
アップロードが原因でおこる著作権侵害
トレントを利用すると、著作権侵害が起きるのは、漫画やアニメ、アダルトビデオ(AV)など著作権で保護された作品のダウンロードにより、同時にアップロードが起き、著作権法の公衆送信権を侵害してしまうためです。
公衆送信権については、著作権法第23条で次のように記載されています。
第23条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。引用:法令リード
この条文を読み解くと、著作物をネット上で配信する行為は、著作権者にのみ許されているというわけです。このため、著作権者以外によるネット上への無断の音楽や漫画のアップロードは、意図的でなかったとしても、公衆送信権や送信可能化権の侵害となり、著作権侵害とみなされます。
トレントの利用で起こり得る著作権侵害は、公衆送信権の侵害だけではありません。データのダウンロードにより、著作権で保護された有償販売の作品を反復、継続してダウンロードする行為を違反とする著作権法第119条3項にも抵触します。
トレントによる発信者情報開示請求とは?
トレントの利用による発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法第5条に基づく発信者情報開示請求です。開示請求すると、裁判所がインターネットプロバイダー(ISP)を介してユーザーに対し、トレントのユーザーの個人情報や接続ログなどの情報の開示を要求します。
トレントによる発信者情報開示請求の請求元は多くの場合、違法アップロード・ダウンロードによって著作権侵害が疑われる映画や音楽、AVの著作権者です。著作権者は、申立書のうつしや申し立てを理由づける具体的な事実ごとの証拠とともに、ISPの事務所が所在する地方裁判所に対して開示請求を求めます。
また、著作権者は、改正プロバイダ責任制限法で新設された発信者情報開示命令(非訴手続)でも、発信者情報の開示を求めることが可能です。
著作権者の訴えが認められると、裁判所は、トレントを利用したユーザーの氏名や住所、メールアドレスといった発信者情報の開示を求める命令を下します。
発信者情報がISPに開示され、ユーザーが特定された後は、著作権者が著作権侵害の違法行為をしたとされるユーザーを相手とし、損害賠償請求や刑事訴訟を行います。具体的な事例については、上述した通りです。
トレントで発信者情報開示請求を受けた時の対処法
トレントの利用により、発信者情報開示請求を受け、ISPから『発信者情報開示に係る意見照会書』が届いた時の対処法は、次の3つです。
●意見照会書を無視する
●意見照会書を拒否する
●意見照会書に同意する
ここからは、それぞれの対処法について解説します。
意見照会書を無視
1つ目は、意見照会書を無視し、回答もしないという方法です。
一定期間(2週間)を経過しても回答せず、無視を貫いた場合、ISPは著作権者から提出された資料に基づき、プロバイダ責任制限法の「発信者情報開示関係ガイドライン」の基準をもとに、「権利が侵害されたことが明らか」であるかどうかについて検討を始めます。
一方、トレントのユーザーは、意見照会書に回答する権利を失ってしまいます。つまり、ユーザーはその後に主張したい内容があったとしても、事情を一切考慮されないまま、ISPの判断で、発信者情報の開示・非開示が決まることになるのです。
ISPはユーザーが意見照会書を無視した場合、回答を拒否したと判断するため、発信者情報を開示しないのが一般的です。しかし、万が一、発信者情報が開示され、和解交渉に進んだ場合に交渉が難航する場合が多いため、無視を決め込むのは悪手といえるでしょう。
意見照会書を拒否
2つ目は意見照会書を拒否する方法です。
その場合は、意見照会書への回答書で、「発信者情報開示に拒否します。」に拒否理由とともに丸をつけます。証拠がある場合は、回答書に添付しましょう。
発信者情報開示を拒否した場合、ISPは著作権者に対して発信者情報を開示しないのが一般的です。しかし、発信者情報の非開示が決まったからと言って、その後、発信者情報が開示される可能性が無くなったわけではありません。
前述の通り、ISPから任意の開示を受けられなかった場合、著作権者は、ISPを相手取った裁判を起こす可能性があります。後述しますが、開示請求の訴訟では多くの場合、裁判所が発信者情報の開示を認めています。
このため、発信者情報を開示されるユーザー側のリスクは、意見照会書を拒否した時点で回避できたとはいえないでしょう。
意見照会書に同意
最後は、意見照会書に同意するという方法です。
発信者情報開示関係ガイドラインによれば、トレントのユーザーが発信者情報の開示について同意すると、ISPは、すぐさま開示決定通知書を著作権者に出し、発信者情報を開示します。
意見照会書に回答する際の判断基準
発信者情報の開示に関わる法的措置は開示請求の訴訟を含めると著作権者有利の面がありますが、だからと言ってユーザーはむげに意見照会書に同意すべきではありません。
意見照会書に回答する際は、①心当たり・身に覚えがあるか、②早期に示談する意思があるか、の2つを判断基準に据え、慎重な姿勢で臨みましょう。
①の場合、データの違法なアップロード・ダウンロードにつながる事実がなければ、意見照会書に同意する必要はありません。拒否回答を出しましょう。
しかし、意見照会書の送付先であるユーザーに心当たりがなくとも、同じIPアドレスを利用している同居家族がトレントを利用している場合もあり得ます。その可能性があれば、必ず確認しましょう。
②は、発信者情報を開示される心当たりがある場合の判断基準です。心当たりがある場合は、著作権違反をおかした証拠がそろっていることから、ユーザーは、刑事告訴を含む、著作権者からの法的責任追及の回避を考え始めるフェーズといえるでしょう。
刑事告訴は必ず受理されるわけではありません。それでも、揉め事の早期解決を図る上では、示談が極めて有効です。示談をして示談金をどうするのか等、視野に入れている場合は、早期に弁護士へ相談するとよいでしょう。
発信者情報開示に係る意見照会書を拒否したらどうなる?
ユーザーが発信者情報開示に係る意見照会書を拒否すると、次の4つの展開が予想されます。
●プロバイダーが任意に開示判断する
●著作権者がプロバイダーに対して発信者情報開示請求の訴訟を起こす
●著作権者がユーザーに対して損害賠償請求・刑事告訴する
●ユーザーに対する責任追及を断念するケースもある
3つ目の展開は、発信者情報が開示された後の展開ですが、ここからは、上記4つの展開について説明します。
プロバイダが任意に開示判断する
ISPからの意見照会書に対し、開示を拒否する旨の返答をすると、ISPが拒否理由を踏まえながら、著作権者に情報を開示するかどうか判断します。
ISPは、法的リスクを加味し、発信者情報を開示しません。ISPが情報開示を速やかに行うのは、P2P型ネットワーク監視システム「P2PFINDER」のノード接続プログラムやピースダウンロードプログラムなどにより、IPアドレスが特定されている場合など、限られた状況だけです。
それでも、ISPによる任意の開示判断の際、「情報を開示しない」という結論に導くために、意見照会書の拒否理由が重要なのは言うまでもありません。
著作権者がプロバイダに対して発信者情報開示請求の訴訟を起こす
発信者情報開示請求でISPから情報が開示されない場合、著作権者はISPに対して発信者情報の開示請求を起こします。
発信者情報開示請求の訴訟は近年、ほとんどのケースで情報の開示が認められており、ユーザーにとって不利です。
多くの訴訟で開示が認められるのは、過去の数多くの訴訟により判例が蓄積されてきたことから、著作権者らで構成する原告側がどのような主張・立証のもと、法定されている開示の要件を充足すればよいかわかってきたからだとされています。
このため、発信者情報開示請求の訴訟が提起された時点で、ユーザー側は発信者情報の特定とその後の法的措置を見越した準備を始めるのが合理的な判断だといえます。
著作権者がユーザーに対して損害賠償請求・刑事告訴する
訴訟によってユーザーの氏名や住所が判明すると、著作権者はユーザーに対して損害賠償請求・刑事告訴を起こします。
損害賠償請求で敗訴した場合、ユーザーは、著作権法第114条1項の推定規定に基づき、ダウンロード数×販売利益という計算式で計算した賠償金を支払わなければなりません。
販売利益が少なければ賠償額も少なくなりますが、被告人への請求額が最大1億6,700万円に上った東京地方裁判所令和3年8月27日判決及び同判決の控訴審である知的財産高等裁判所令和4年4月20日判決のように、高額請求となるケースも少なくありません(実際の賠償額は234万2,000円)。
また、刑事告訴で起訴されると、ユーザーは著作権法第119条1項に基づき、前科がついた上で、10年以下の懲役か、1,000万円以下の罰金または両方が課されます。
ユーザーに対する責任追及を断念するケースもある
損害賠償請求して得られる損賠賠償金と、訴訟費用・負担が釣り合わない場合、著作権者がユーザーに対する責任追及を断念するケースがあります。
とはいえ、責任追及を諦めるかどうかは著作権者の判断に基づくものです。ユーザーとしては、損害賠償請求権の消滅時効が経過するまで不安定な立場に置かれることになります。
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、長いため、著作権者がその間、過去の決断を翻意し、訴訟に踏み切る可能性もゼロではありません。
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トレントの利用で著作権侵害が起こった事例
トレントの利用で著作権侵害が起こった事例について紹介します。
漫画作品を著作権者に無断でアップロード
長崎県生活環境課サイバー犯罪対策室と長崎署は2019年2月、トレントを通じて、漫画作品を権利者に無断でアップロードし送信できる状態にしていたとして、同県内の30代男性を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで、長崎地検に送致しました。
この事案は、トレントトラッカーサイト「Nyaa.si」を利用して多数の海賊版データを所持し、トレントを通じてアップロードしていたことから、悪質性の高かったとされています。
楽曲配信会社から著作権侵害の開示請求
日本レコード協会の会員企業は2022年、トレントを使って音楽ファイルを違法アップロードしている35件のIPアドレスと、プロバイダー13社に対し、発信者情報の開示を求めました。結果、ログが残っていなかった4件のIPアドレスを除き、すベてのIPアドレスの発信者情報が開示されることになりました。
発信者情報が開示されたあと、会員企業は、19人の違法アップローダーを対象に、「今後著作権侵害をしない旨の誓約」と「損害賠償金の支払い」に関する合意を取り付けています。
トレントによる発信者情報開示請求の対応を弁護士法律事務所に相談するメリット
トレントによる発信者情報開示請求の対応を弁護士に相談するのは、さまざまなメリットがあります。
たとえば、意見照会書を拒否する場面では、弁護士は、適切な論拠をもとに、法的措置を断念するような説得的な主張を展開してくれるでしょう。
発信者情報開示請求の訴訟が起きた場合も、弁護士は大きな力になってくれます。弁護士は具体的に意見陳述や冒頭陳述、弁論などの要所で、被告人であるユーザーが不利にならないような主張をしてくれるでしょう。
トレントで開示請求を受けた時は弁護士に相談するのがおすすめ
トレント利用による開示請求は、著作権者がIPアドレスをもとにユーザーの発信者情報を手に入れるため、プロバイダ責任制限法に基づいてISPに対して行う請求です。
発信者情報開示請求を受け、ISPから意見照会書が届いた場合の対処法は、3つあります。しかし、3つの対処法のうち、無視は和解交渉に進んだ場合に交渉が難航する可能性があるため、得策ではありません。
また、発信者情報開示請求を拒否した場合、著作権者を原告人、ISPを被告人とする発信者情報開示請求の訴訟など、4つの展開が予想されます。
訴訟に進むと、裁判所はほとんどのケースで情報の開示を認めていることから、ユーザーは損害賠償請求や刑事告訴を受ける覚悟が求められます。
このように、ユーザーは、トレントの利用により著作権者から著作権侵害の可能性について追及されると、いくつもの困難に直面します。一人で対応したり、本人訴訟で闘ったりする選択肢もありますが、法的措置のリスクを回避するためには、弁護士に相談するのが最良の選択肢といえるでしょう。
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