プロバイダからの発信者情報開示請求は拒否できる?プロバイダごとの傾向も弁護士が解説

プロバイダから発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合、開示を拒否(不同意で回答)することも可能です。
ただし、相手方が、
- 任意(訴外の開示請求、テレサ書式)の手続きを利用しているのか
- 発信者情報開示請求訴訟、発信者情報開示命令といった裁判手続きを利用しているのか
によって、開示を拒否することの効果が異なります。
前者の場合は、相手が追及を断念することもありますが、後者の場合は、裁判所が開示を認めることもあります。
プロバイダからの発信者情報開示に係る意見照会書に対して、拒否する場合の注意点や代表的なプロバイダの傾向について解説します。
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プロバイダから発信者情報開示に係る意見照会書が届く状況とは?
プロバイダから発信者情報開示に係る意見照会書が送られてくるのは、契約者であるあなたが次のような行為を行った可能性がある場合です。
- インターネットの掲示板やSNSで他人に対する誹謗中傷などを行った。
- トレントでAV動画等他人の著作物のアップロードやダウンロードを行った。
あなたがネット上でこうした行為を行っても、被害者はあなたの個人情報が分からないため、訴えたり、損害賠償を求めることができません。
そこで、IPアドレスを基にプロバイダに対して、契約者が誰であるか開示するように求めます。これを発信者情報開示請求と言います。
プロバイダは、発信者情報開示請求を受けた場合、必ず、契約者に開示してよいかどうか確認することが義務付けられています(情報流通プラットフォーム対処法6条)。
その確認のための書類が、「発信者情報開示に係る意見照会書」になります。
プロバイダへの発信者情報開示は3つのパターンがある
プロバイダに発信者情報開示を求める方法は3つあります。
- プロバイダに任意で発信者情報開示を求める方法(訴外の開示請求、テレサ書式とも言う)
- プロバイダを相手に発信者情報開示請求訴訟を提起する方法
- プロバイダを相手に発信者情報開示命令を申し立てる方法
任意で発信者情報開示を求める方法は、裁判手続を利用せず、プロバイダに対して直接開示するように求める方法です。
一方、後者2件の方法は裁判手続により発信者情報開示を求める方法です。
相手がいずれの方法を利用しているにしても、プロバイダは契約者に対して発信者情報開示に係る意見照会書を送付します。
プロバイダからの発信者情報開示に係る意見照会書を拒否(不同意で回答)した場合
プロバイダは、基本的に契約者を守ろうとする立場、つまり、発信者情報開示に応じないスタンスを取ります。通信の秘密は憲法上、絶対的に保護されなければならないことになっていますし、電気通信事業法でも通信の秘密を侵してはならない旨が定められているからです。
そのため、契約者がプロバイダからの発信者情報開示に係る意見照会書に対して、開示を拒否した場合、プロバイダは相手方に、開示しない旨の対応を採ります。
任意(訴外の開示請求、テレサ書式)の場合は、相手が裁判手続を利用しなければ、発信者情報が開示されず、終了します。
この場合、相手側が損害賠償などを求めてくることもありません。
一方、裁判手続を利用している場合は、裁判所で審理が続けられ、裁判所が開示を認めてしまうと、発信者情報が開示されてしまいます。
具体的には、契約者の氏名、住所、メールアドレスなどが相手に伝わってしまいます。
その後は、相手側が損害賠償などを求めてくる流れになります。
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プロバイダのログ保存期間と発信者情報開示請求の関係
プロバイダへ発信者情報開示請求をする際は、IPアドレスの特定と共にIPアドレスのログ保存期間内に行うことが重要です。
ログ保存期間が短いプロバイダの場合は、裁判手続を利用する余裕がなく時間切れとなることもあります。
IPアドレスのログ保存期間は、プロバイダーごとに異なりますが、モバイル系プロバイダの場合は、保存期間が約3か月と短く、通信系のプロバイダの場合は約6か月(半年)から1年程度と長めの傾向があると言われています。
なお、IPアドレスのログ保存期間を公開している企業は、ほとんどないため、正確な保存期間は分かりません。
モバイル系プロバイダ | ソフトバンク / NTTドコモ(OCNやNTTぷらら含む) / KDDI楽天モバイル |
---|---|
通信系のプロバイダ | ソニーネットワークコミュニケーションズ / (NURO光など) / 中部テレコミュニケーション / TOKAIコミュニケーションズ / インターリンク / ビッグローブ / エネコム / オプテージ / ユニアデックス / イッツ・コミュニケーションズ / 朝日ネット / QTnet / 伊賀上野ケーブルテレビ / GMOインターネットグループ (GMOとくとくBB、GMOインターネットなど) / NTTコミュニケーションズ / 浜松ケーブルテレビ / アミックスコム / STNet / JCOM / 日本ネットワークサービス / キャッチネットワーク / TOKAIケーブルネットワーク / エキサイト (BBエキサイトなど) / 諫早ケーブルメディア / エディオン / 郡上ケーブルテレビ放送センター / JWAY / 河口湖有線テレビ放送 / 姫路ケーブルテレビ / 佐野ケーブルテレビ / 東京ケーブルネットワーク / 大分ケーブルテレコム / テレ・マーカー / アドバンスコープ / 多摩ケーブルネットワーク / 湘南ケーブルネットワーク / 大垣ケーブルテレビ / スピーディア / 天草ケーブルネットワーク / 多摩テレビ / KCN / CAC / 豊橋ケーブルネットワーク / 鹿沼ケーブルテレビ / KCN京都 / 豊橋ケーブルネット / 上越ケーブルビジョン / CCNet / fooonz / 旭川ケーブルテレビ / ガイアックス / インターネットイニシアティブ (IIJmioはモバイル系) / ハイホー / ネットフォレスト / 能登町 / トコちゃんねる静岡 / MCAT |
発信者情報開示に係る意見照会書を拒否することの是非についてプロバイダ別に解説
発信者情報開示に係る意見照会書を拒否すべきかどうかは、プロバイダによっても異なります。
主なプロバイダ別に対応方法について解説します。
ソフトバンクから発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合は?
ソフトバンクは、モバイル系プロバイダですが、ログの保存期間が長いと言われています。
発信者情報開示手続きに時間をかけられることから、発信者情報開示請求訴訟、発信者情報開示命令といった裁判手続を利用しているケースも多いです。
この場合、発信者情報開示に係る意見照会書に拒否(不同意)で回答しても、裁判所が開示を認めてしまうこともあります。
拒否(不同意)で回答する際は、その理由をしっかり書き、証拠資料をそろえることが大切です。
ソニーネットワークコミュニケーションズから発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合は?
ソニーネットワークコミュニケーションズのログの保存期間は公開されていません。ただ、通信系プロバイダなので、ログの保存期間は比較的長いと考えられます。
発信者情報開示請求訴訟、発信者情報開示命令といった裁判手続が利用されているケースも多いです。
ソフトバンクの場合と同様に拒否(不同意)で回答する際は、その理由をしっかり書き、証拠資料をそろえることが大切です。
NTTドコモ(OCNやNTTぷらら含む)から発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合は?
NTTドコモは、モバイル系プロバイダです。
NTTドコモが2025年3月に総務省に対して行った説明によると、総務省個人情報保護ガイドラインに沿った対応をしているようなので、一般的に6カ月程度はログを保存している可能性があります。
発信者情報開示請求訴訟、発信者情報開示命令といった裁判手続が利用されるケースもあるので、ソフトバンクの場合と同様に拒否(不同意)で回答する際は、その理由をしっかり書き、証拠資料をそろえることが大切です。
参考サイト https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ICT_services/02kiban18_02000383.html
KDDIから発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合は?
KDDIもモバイル系プロバイダです。ログの保存期間は非公開のため、はっきりしたことは分かりません。
ただ、発信者情報開示請求訴訟、発信者情報開示命令といった裁判手続が利用されるケースも多いです。
ソフトバンクの場合と同様に拒否(不同意)で回答する際は、その理由をしっかり書き、証拠資料をそろえることが大切です。
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プロバイダからの発信者情報開示に係る意見照会書を拒否(不同意)で回答する際のポイント
プロバイダからの発信者情報開示に係る意見照会書に対して拒否(不同意)で回答する際の注意点を紹介します。
任意か裁判手続きを利用しているのかを確認する
まず、発信者情報開示を求める相手方が任意(訴外の開示請求、テレサ書式)の手続きを利用しているのか、発信者情報開示請求訴訟、発信者情報開示命令といった裁判手続きを利用しているのか見極めましょう。
具体的な方法としては、意見照会書の文章から、裁判手続が利用されているかどうか判断する方法と、意見照会書に添付されている資料から裁判の資料かどうか判断する方法があります。
分からない場合は、弁護士に相談したり、プロバイダに問い合わせましょう。
任意の場合は拒否(不同意)で回答すれば、相手が追及を断念する事もあります。
一方、裁判手続を利用している場合は拒否(不同意)で回答しても、裁判所が開示を認めてしまうことがあります。
拒否(不同意)で回答することのリスクも考慮しながら慎重に判断しましょう。
拒否(不同意)する理由をしっかり書く
発信者情報開示を拒否(不同意)する場合は、その理由をしっかりと書きましょう。
具体的には、権利侵害に該当しない旨について、法的に説得力のある説明の文章を書き、その説明の裏付けとなる証拠資料も添付します。
法律の条文や判例を引用するなどして、相手方弁護士、裁判官が納得するような文章を書く必要がありますが、一般の方がこうした文章を書くことは難しいと思います。
必ず、弁護士にご依頼ください。
発信者情報開示請求の内容について、全く身に覚えがない場合でも、単純に知らないと回答するのではなく、やはり、法的に説得力のある文章で説明する必要があります。
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まとめ
プロバイダから発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合に拒否(不同意)で回答するべきかどうか、拒否(不同意)で回答する際の注意点について解説しました。
相手方が、任意(訴外の開示請求、テレサ書式)で発信者情報開示請求をしている場合は、拒否(不同意)で回答すれば、個人情報が開示されないこともあります。
一方、裁判手続を利用している場合は、裁判所が開示を認めてしまうことがあるので慎重な対応が必要です。
いずれのケースでも、拒否(不同意)する理由について法的に説得力のある文章を書く必要があるので、ネットトラブルに詳しい弁護士に相談してください。
弁護士法人法の里は、発信者情報開示請求への対応などのネットトラブル対応実績が多数あります。まずはお気軽にご相談ください。
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