名誉毀損と侮辱の違いを分かりやすく解説!ネット誹謗中傷で訴える条件など弁護士が解説
人や団体のことを貶めその尊厳を傷つけるものとして、「名誉毀損」「侮辱」があります。今回はこのようなことをしたときに問われる「名誉毀損」と「侮辱」について、
- その違い
- 課せられる罰
- 被害者となったときの戦い方
について解説していきます。
2009年弁護士登録(東京弁護士会所属)
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名誉毀損と侮辱、その違いについて
名誉毀損と侮辱は、「人や団体のことを貶めその尊厳を傷つけるもの」という点では共通した性質を持つといえます。
しかしこの2つには、相違点もあります。
名誉毀損と侮辱は似ているけれども違うもの
名誉毀損と侮辱の違いは、「事実を適示(暴いたり、示したりすること)するかどうか」です。
たとえば、「Aさんは奥さんに暴力をふるって離婚された」「Bという会社は、上層部が結託して若い女性社員にセクハラとパワハラを行われている」などのような発言は「名誉毀損」にあたる可能性が高いといえます。
対して、「Aはアホだ」「Bの商品は低品質」などのような発言は「侮辱」にあたる確率が高いと考えられます。
ごく簡単にいえば、「具体的な内容(『事実』)を取り上げているかどうか」が、名誉毀損と侮辱の違いということです。
たとえその内容が「本当のこと」でなくても、「事実」と認められる
また、意外に思われるかもしれませんが、ここでいう「事実」とは「本当のこと」である必要はありません。
上の例でいえば、実際にはAさんは奥さんに暴力をふるっていなかったとしても、このような言い方をすれば名誉毀損に問われる可能性があるのです。
本当のことであっても、また嘘であっても、「『事実』を指摘した」と解釈されます。
このため、訴えられた側が「実際にはそんな事実がなかったのだからいいじゃないか」と言ったとしてもその抗弁は認められません。
名誉毀損も侮辱が成立しないパターンがある
名誉毀損も侮辱も成立しないパターンもあります。
それが、
- 公益性を満たす場合
- 「公然と」の要件に当たらない場合
です。
それぞれみていきましょう。
【公益性を満たす場合】
たとえば「事実の適示」であっても、「政治家のAは適切ではないかたちでB社と手を組み、公共事業の入札に関しての情報を事前に流して、代わりに現金を受け取っていた」などのような情報が報じられ、さらにこれが事実だったとしましょう。
これは公益を阻害する行為です。公益を考えて行われた報道で、かつ事実であると判断された場合は、「事実の適示を」「公然と」行っていたとしても罪には問われない確率が高いといえます。
【「公然と」の要件に当たらない場合】
名誉毀損にしろ侮辱にしろ、成立するためには「公然と」の要件を満たす必要があります。
たとえば1対1の状況で、
- Bさんから「お前は不倫しているだろう!」と詰め寄られたなどのケース
- 個人同士のメールで「お前はばかだ」とののしられたなどのケース
では、名誉毀損も侮辱も成立しません。
これらはクローズドな空間で行われているものであって、ほかの人に知らしめているものではないからです。
ただし「周囲に人がいる状況であり、かつその人がこのような発言を広める可能性がある場合」は、名誉毀損や侮辱に問われる確率が高いといえます。
また、インターネット上での発言も、「公然と」の要件を満たします。インターネットはだれでも見ることのできるものだからです。
名誉毀損罪と侮辱罪に関する罰則
名誉毀損罪と侮辱罪が成立し、有罪であると判断された場合、罰が下されます。
名誉毀損罪と侮辱罪、それぞれの罪
名誉毀損罪に問われた場合、
三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する
引用:e-GOV「明治四十年法律第四十五号刑法 第三十四章名誉に対する罪(名誉毀損)
侮辱罪の場合は
拘留又は科料に処する
引用:e-GOV「明治四十年法律第四十五号刑法 第三十四章名誉に対する罪(侮辱)
とされています。
しかし、侮辱罪については、フジテレビの番組に出演していた木村花さんが、SNSで中傷され、死亡した問題で、刑罰が軽すぎるとの声が遺族らから上がったことで、インターネット上の誹謗中傷への対策を強化するため、侮辱罪の法定刑に懲役刑を導入する刑法の改正について、今年に入り法制審議会(法相の諮問機関)総会に諮問すると明らかにした。
これにより、現行の法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」で、法制審では「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加する案を議論する。厳罰化が実現すれば、公訴時効も現行の1年から3年に延長される。
「自分は大きな被害を受けた。そのダメージを完全に取り戻すことは難しいので、せめて相手に制裁を加えたい」「加害者が二度と同じことをしないようにするために、ここできちんと相手に罰を与えたい」などのようなときには、被害者自身が立ち上がる必要があるのです。
戦い方とその流れ
実際に自分が被害者となったときの戦い方を見ていきましょう。今回は名誉毀損を例にとり、民事責任と刑事責任を追及するときの流れをそれぞれ紹介していきます。
なお今回は、「インターネット経由で加害されていて、相手がだれだかわからない」という状況を想定しています。また実際には「その訴えが正当なものであるかどうか」も精査されるのですが、ここでは「訴えは正当なものである」という前提で話をしていきます。
民事手続きの流れ
先に、民事の流れから解説していきます。
相手の正体がわからない場合、まずは相手を突き留めることからしなければなりません。
- サイトの管理者に対して、加害者のIPアドレスの開示を請求する
- 1を元に、加害者が利用したプロバイダを特定する
- プロバイダに対して、加害者(契約者)の個人情報の開示を請求する
- 加害者が特定されたら、損害賠償を請求する
この「開示請求」自体は、弁護士資格を持たない被害者本人であっても行えます。ただし、ごく一般的な利用者である被害者個人がサイト管理者やプロバイダに請求を出したとしても、「個人情報を簡単には渡せない」として一蹴されてしまうケースがほとんどです。
そのため、ステップ1の段階から弁護士を入れるのが現実的です。
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ちなみに示談が成立した場合、個人ならば50万円を、個人事業主や企業の場合は100万円を上限として示談金が支払われるのが一般的です。しかし被害の程度が非常に重い場合は、これよりも高い慰謝料が支払われることもあります。
また示談が決裂した場合は民事訴訟を提起することになるので、証拠集めはしっかり行いましょう。
刑事手続きの流れ
名誉毀損の場合、刑事事件にいたる可能性はそれほど高くありません。
ただし「まったくない」というものでもありませんから、ここでは刑事事件となった場合の流れについて解説していきます。
- 被害者が被害届を出し、告訴する
- 捜査が開始され、加害者が逮捕される
- 逮捕後48時間以内に取り調べが行われる
- 検察に送られる
- 拘留期間を経て起訴・不起訴が決まる
- 刑事裁判が開始される
上でも述べたように、実際に刑事事件にいたる可能性は低いといえます。
また親告罪であることも関連して、実際に「ここまで動くのは面倒……」と感じる人もいるでしょう。戦いは非常に大きな疲れをもたらしますし、時間も手間もかかります。
しかしインターネットに書き込まれた書き込みがどんどん拡散していってしまうこともありますし、もっと大きな被害を招く可能性も否定できません。ほかの人が被害に遭う確率も高くなるでしょう。そのことを念頭に置いたうえで、「どのように行動したらよいか」を考えてみてください。
どのような場合でも、弁護士は依頼人の力となります。
「どのようにしたら被害を取り戻せるか」「どのようにして戦っていったらいいか」「具体的な手法は何か」など、インターネットトラブルに強い弁護士にまずは相談をすることとをおすすめします。
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