トレントで開示請求された時の対処法は?弁護士が解説
トレントは、中央サーバーを介さず気軽に映画や音楽、ゲームなどを送受信できる共有ファイルソフトです。
ファイル共有ソフトのなかでも随一の人気を誇りますが、近年はトレントのユーザーが著作権法に抵触し、逮捕されたり、損害賠償請求されたりといった事案が後を絶ちません。また、法的措置に先立つ開示請求の件数も増えています。
そこで、本記事では、ファイル共有ソフトのトレント(torrent)で開示請求を受けた時の対処法について解説します。
トレントが著作権侵害になる理由や、開示請求の対応を弁護士に依頼するメリットについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
トレントによる開示請求「発信者情報開示に係る意見照会書」についてすぐに相談したい方、示談、交渉、開示請求に強い弁護士法人 法の里にご相談ください。相談無料ですので、お気軽にお問合せください。
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2009年弁護士登録(東京弁護士会所属)
発信者情報開示請求・爆サイ、5ちゃんねる等の掲示板やSNSでの削除、投稿者の特定を得意としています。状況を分析、解決策のご提案します。
トレントとは
トレントとは、インターネット上で広く利用されているファイル共有プロトコルの1つで、中央サーバーを設けないP2P(ピア・ツー・ピア)方式により、ユーザー同士で直接ファイルを送受信できるクライアントソフトです。類似のクライアントソフトには、μTorrentや、BitCometなどがあります。
トレントの仕組みのなかで特徴的なのは、ファイルの送受信の際に1つのサーバーにダウンロードしたいファイル全体が保存されるのではなく、ファイルが細分化され、トレントを使用するさまざまなエンドユーザーのコンピューターに保存される点です。
さらに、あるユーザーが大容量ファイルのP2P方式でダウンロードを開始すると、ビットトレント・クライアントは、ほかのユーザーから断片化されたファイルをかき集め、最終的に1つの完全なファイルとして修復します。
このように、トレントは、複数のサーバー・パソコンにファイルを分散することで、システムの負荷を軽減し効率よくファイルデータを共有しているのです。
一方で著作権保護されたコンテンツの違法なダウンロードにも使われるため、法的な問題がある場合があります。適法な目的で利用する場合でも、ウイルス感染やスパイウェアに感染する危険性があるため、注意が必要です。
BitTorrent(ビットトレント)やPerfectDarkなどのファイル共有ソフトは要注意
BitTorrent(ビットトレント)やμトレント(ユートレント,マイクロトレント,ミュートレント)等のファイル共有ソフトで大手レコード会社の音楽作品(ポニーキャニオン、エイベックス、バンダイナムコアーツ、日本コロムビア、キングレコード、SONY(ソニー)の音楽など),アダルト動画(株式会社KMP(ケイエムプロデュース)、株式会社EXstudio、株式会社WILL、ティーパワーズ株式会社、株式会社クイーンズロード、株式会社グルーヴ・ラボの作品など)のファイル共有ソフトの利用者に関し、開示請求がされる事例が増えています。
ネット環境が飛躍的にアップした昨今では、BitTorrent(ビットトレント)を使った違法行為が横行し、多くの違反者が摘発されています。
摘発されて著作権法違反で逮捕が確定すれば、十年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金、その両方が科せられる場合もあり得ます。心当たりのある方は、かなり覚悟しておかねばなりません。
トレントが著作権侵害になる理由
トレントは自分がファイルをダウンロードすると同時に、ファイルを他者に送信(アップロード)する仕組みになっていることから、著作権侵害が問題視されています。
著作物をインターネットなどで広く発信する権利は本来、著作権者にしかありません。
著作権は、作品を創作した人に与えられる権利であり、その作品を独占的に利用する権利を持っています。著作権法により、著作物の複製、配布、公衆送信、翻案などは、著作権者の許可なく行うことはできません。
このような権利は著作権法で公衆送信権と呼び、著作法第23条で次のように記載されています。
第23条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。引用:法令リード
この条文を解釈すると、第三者によるネット上への無断の音楽や漫画のアップロードは、公衆送信権や送信可能化権の侵害となり、著作権侵害の違法行為とみなされるというわけです。もちろん、トレントを介した不特定多数へのアップロードも著作権侵害の対象になります。
この著作権侵害者を特定する手続きとして、著作権者は、開示請求を行います。
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ファイル共有ソフトのトレント利用で著作権侵害が起こった事例
トレントの利用により著作権侵害が起こった事例は過去に複数あります。
たとえば、2019年3月、長崎県の30代男性が、トレントを通じて、漫画作品を著作権者に無断でアップロードし送信できる状態にしていたとして、長崎県警生活環境課サイバー犯罪対策室と長崎署によって長崎地検に送致されました。
この事案は、男性が講談社『鬼灯の冷徹』26巻と集英社『僕のヒーローアカデミア』18巻を、海賊行為をまん延させる形式のサイト「Nyaa」を介してトレントのネットワーク上に無断アップロードしたことから、悪質性の高い事案だったといわれています。
また、もう一つの事例として、インターネット上で音楽を配信していたとして、楽曲配信会社から著作権侵害で訴えられた個人がいました。この個人は、使用していたトレントサイトからIPアドレスが特定され、著作権侵害が行われたことが明らかになったため、楽曲配信会社から著作権侵害の開示請求を受けました。この結果、個人情報が楽曲配信会社に開示され、法的手続きによって和解することになりました。
トレントによる開示請求は、個人情報の開示や著作権侵害の訴訟など、深刻な問題を引き起こすことがあります。しかし、適切な対処法を用いることで、リスクを軽減することができます。
トレントの利用で受け取る開示請求とは
トレントの利用で受け取る開示請求は、著作物が無断でアップロードされていることを知った著作権者が、IPアドレスをもとに匿名相手の氏名や住所などの個人情報を入手するために、プロバイダーに対して行う請求のことです。
発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法第4条に基づく権利であり、情報開示が認められれば、請求をした著作権者は、アップロード者の氏名や住所、電話番号などを入手し、相手を特定できます。
著作権者からの請求時に、プロバイダー側からトレントのユーザー側に届くのが、発信者情報を開示するかどうか訪ねる意見照会書です。
トレントで開示請求を受けた時の対処法
トレントで開示請求を受け、『発信者情報開示に係る意見照会書』が届いた時の対処法は、次の3つです。
●意見照会書を無視する
●意見照会書を拒否する
●意見照会書に同意する
ここからは、著作権者から開示請求され「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いた際、それぞれ3つの対処法について解説します。
意見照会書を無視
一つ目は、意見照会書への回答を無視するという対応です。
一定期間(2週間)を経過しても回答せず、無視を貫いた場合、プロバイダ責任制限法の「発信者情報開示関係ガイドライン」に基づき、請求を受けたユーザーは、「特段の主張は行わないもの」として扱われます。
つまり、ユーザーはその後に主張したい内容があったとしても、意見を考慮されないまま、プロバイダーの判断で、発信者情報が開示されることになるのです。
したがって、意見照会書に無視を決め込むのは、得策とは言えません。プロバイダーが情報開示する可能性が高まるだけでなく、和解交渉も難航しやすくなります。
意見照会書を拒否
続いて、意見照会書を拒否するという対処法です。
意見照会書を拒否したい場合、回答書に記載のある「発信者情報開示に同意しません。」に◯をし、理由を記載します。証拠がある場合は、回答書に証拠資料を添付することが可能です。
具体的に意見照会書を拒否する際には、どのような主張ができるのでしょうか。たとえば、意見照会書に記載された権利事実が事実無根である場合には、パソコンの利用情報を開示しながら、パソコンやトレントを利用していないといった主張ができます。
ただし、意見照会書に拒否したからといって、発信者情報が開示される可能性がゼロになるわけではありません。
立証する証拠に乏しければ、発信者情報が開示されやすくなってしまうと同時に、訴訟でも敗訴の可能性が高まります。
意見照会書に同意
最後は意見照会書に同意するという対処法です。
ユーザーが意見照会書に同意すると、プロバイダーは、速やかに発信者情報を開示します。
開示対象となるのは、ユーザーの個人情報に関連した発信者情報だけではありません。著作権者の要請によっては、SNSなどのアカウント作成の際の通信やアカウントへのログインの際の通信といった特定発信者情報も開示されます。
意見照会書への同意は対処法の一つであるものの、開示請求に対して反論の余地がない場合、著作権者から損害賠償や刑事告訴を受ける可能性を高めるハイリスクな判断と化します。
損害賠償請求や刑事告訴を受ける可能性がある場合、ユーザーは今後の対応を見据えて、弁護士の協力を仰ぎながら、著作権者に対する謝罪や示談を検討していくべきでしょう。
トレントの著作権侵害の賠償額はどれくらい?
著作権侵害の賠償金額は、著作権法によって算定方法が定められています。(著作権法第114条)
トレントの場合は著作権侵害行為が行われたコンテンツの種類や配信された期間、ダウンロードやアップロードの回数、被害者の損失額などが考慮され、それに基づいて賠償額が決定されます。
そのため、呪術廻戦といった人気の漫画であれば、ダウンロード回数もおのずと多くなるため、賠償金額も高くなることが予想されます。
これらの算定方法は状況によっても異なるケースがあるため、詳しい賠償額については弁護士に相談しましょう。
トレントによる開示請の対応を弁護士に依頼するメリット
トレントによる開示請求への対応を弁護士に依頼するのは、さまざまなメリットがあります。
たとえば、意見照会書を拒否する場合、弁護士は、事実無根の請求や支離滅裂な請求に対して、正しいロジックで回答をし、開示を阻止してくれるでしょう。
また、意見照会書に同意する場合でも、事を荒立てない謝罪の方法を考えてくれるほか、早期解決や示談に向けた正しい道筋を描いてくれるでしょう。
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トレントで開示請求を受けた時は弁護士に相談するのがおすすめ
トレントによる開示請求は、著作権者が、IPアドレスをもとに匿名ユーザーの個人情報を手に入れるために、プロバイダーに対して行う請求です。
開示請求を受け、「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いた時の対処法は、3つあります。しかし、3つの対処法のうち、無視は得策ではありません。
相手の主張に応じて、意見書の拒否・同意といった選択肢を取るのが賢明です。いずれの選択肢を取る場合でも、開示請求への対応は、弁護士に任せましょう。
弁護士は適切な主張反論をし、発信者情報の開示を阻止してくれるだけでなく、「発信者情報開示に係る意見照会書」に同意する場合でも、早期解決に向けた道筋を描いてくれます。
弁護士法人 法の里は、トレントの開示請求への対応で実績が多数あります。まずはお気軽にご相談ください。
トレントによる開示請求の示談やを拒否する方法についても、的確なアドバイスをします。
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